リハビリの初日は「体力・機能測定」から始まるのだが、先ずはメディカルチェックを行い、続いてマッサージによって身体全体を解すと同時に、それぞれのスタッフによる身体機能の現状把握が行われる。
運動機能
身体が十分に解れたところでいよいよ測定開始、最初は歩行状態の確認だ。椅子に腰かけた状態から立ち上がり、直線数mを歩いて折り返し、戻って椅子に腰かけるまでの時間と身体(体幹)の状態を目視確認する。
その後、バンザイをして肩の可動域(前後・左右角度)の測定や腕の状態(肘の真直性など)を確認した後、平行棒の間に立って片足立ちを交互に行う。目標は10秒以上だそうだが、情けないことにそれぞれ3秒程しか立っていられなかった。
続いて器械を使った筋力測定に移る。レッグプレスマシン(※1)、レッグエクステンションマシン(※2)、ローイング(※3)、アブダクション(※4)をそれぞれ出来る限りの力を入れて測定する。この時の測定結果が今後のリハビリ時でのマシン負荷値(個人差はあるが最大値の5~8割)となる。
作業機能
運動機能の測定・確認の次は、手指の機能状態や簡単なパズルなどによる認知機能の確認を行うのだが、先にロムーバー(※5)による手指及び手関節を柔軟にしておく。
手指の関節や筋肉が柔らかくなってきたら、先ずはペグボード(OPLLの回復期リハビリ -3-(指先の感覚を呼び覚ます-1-)参照)や箸による小豆の移動に係る時間を計測する。但しペグボードによる測定は、時間短縮がこれ以上望めないと判断した時点で実施しなくなる。箸による小豆の移動は健常者の方も時々やってみるとよいだろう。指先と集中力の訓練にもってこいだ。
後々のリハビリにも出て来るが、新聞の一部(主に社説)を一定時間内で何文字筆写できるかという訓練もある。これは筆記スピードだけではなく、読む側の立場も考えて出来るだけ丁寧に書き写すことが大切である。また、一定時間内に集中して「書く」という作業は、手指関節を持続して使う訓練に非常に役に立つものだ。
最後は、パズルや間違い探し絵による認知機能の確認が行われ、初日のリハビリは終了する。
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※1 立ち上がり、座る、しゃがむ、歩く等の動作に必要な筋力を強化するための運動補助器具
※2 膝関節可動域の維持や拡大に必要な大腿四頭筋を強化するための運動補助器具
※3 広背筋、菱形筋などの背筋群を中心に強化するための運動補助器具
※4 中殿筋など股関節外転筋群を強化するための運動補助器具
※5 空圧式関節可動域改善装置:左右の手にグローブをはめ、グローブ内の空気袋を加圧・除圧することにより、手指や手関節の外転-伸展-背屈運動を繰り返し行う管理医療機器