OPLLによって引き起こされる症状の複雑さ
皆さんからよく聞かれる質問の一つに、「OPLL(後縦靭帯骨化症)を発症すると、身体にどんな変化が起きるのですか」と聞かれることがよくあります。
状の現れ方は、骨化した部位や神経への圧迫度合いによって千差万別です。私の場合、頸椎の上部(C2・C3)に強いダメージを受けたため、現在も全身にわたる後遺症と向き合っています。
症状の種類と軽重
下半身の症状:消えない「足裏の違和感」
膝から下には常に痺れがあり、湿度や疲労によっては痛みとして感じることもあります。 特筆すべきは、多くの当事者が口にする「足裏の違和感」です。
- 「足裏にテニスボールや肉球が付いているような感覚」
- 「常にフワフワした足元で、体幹が安定しない」
- 「朝、起きがけに襲われる強い筋肉の硬直」
これらは日常生活を送る上での大きな壁となります。特に階段を下る動作は、足首の不自由さも相まって、今でも細心の注意が必要です。
上半身・体幹の症状:繊細な動作と感覚の麻痺
首や肩の慢性的(まんせいてき)なこりに加え、手指の細かい動き(巧緻動作)が難しくなりました。
- 手指の不自由さ: 5本の指を独立させて自在に動かすことが困難。
- 感覚過敏: 胴体部分の皮膚が敏感になり、繊維の硬い衣類が擦れるだけで痛みを感じる。
- 体幹の柔軟性低下: 片足立ちでのバランス保持や、身体の曲げ伸ばしが難しい。
症状の緩和について:やはり「リハビリ」が一番
急性期の治療後は、主治医の指示のもとでのリハビリテーションが現状維持・回復の要(かなめ)になると、私は確信しています。
1.専門施設でのリハビリ
リハビリ専門の病院などで、正しい身体の使い方を学ぶことは第一歩です。ただし、リハビリは「症状をゼロにする魔法」ではありません。理想と現実のギャップに苦しまないよう、「現状を維持し、不自由さと折り合いをつける」という視点も大切です。
2.日常生活に溶け込む「セルフリハビリ」
専門施設へ通う時間が限られていても、日々の生活そのものをリハビリと捉えることができます。
- 家事・料理: 指先を使い、立ち姿勢を維持する。
- ラジオ体操・ウォーキング: 安全な場所で、軽く汗ばむ程度に全身を動かす。
- 「書く」動作: 積極的にペンを持ち、中心線を意識して文字を書く。
- 箸使い: 小さなおかずも、一つひとつ丁寧に摘(つま)む。
具体的な手指のトレーニング方法は、文末の「📋 番外編」をご参照ください
大切なのは、**「自分の身体の些細な変化に目を向け、できる範囲で動かし続けようとする意識」**です。
むすびに
今の身体機能を維持しようとする努力は、結果として生活の質(QOL)の向上に直結します。
自分の身体が発している小さなサインをどう受け止め、前向きに付き合っていくか。その心の持ち方については、別記事の **「難病OPLLと心筋梗塞の前兆を見逃さないために|体が出す「不条理」なサインとは」** でも詳しく触れています。
あきらめず、ご自身の身体と「良い対話」を続けていきましょう。
📋 番外編:家にあるもので!今日からできる「手指のリハビリ」
巧緻動作(指先の細かい動き)の維持・回復は、食事や着替えといった日常生活の質(QOL)に直結します。テレビを見ながら、あるいは家事の合間にできる簡単なメニューをご紹介します。
- 「小豆(あずき)つかみ」トレーニング
- やり方: お皿を2つ用意し、片方に小豆(大豆やビーズでも可)を入れ、お箸で一つずつ隣のお皿へ移します。
- ポイント: 慣れてきたら、お箸を正しく持つことを意識したり、移すスピードを少しずつ上げてみましょう。
- 「ペン回し」と「ペン歩き」・・指を一本ずつ独立させて動かす訓練になります。
- ペン回し: 昔ながらの「ペン回し」も立派なリハビリです。人差し指から小指まで、順にペンを送っていきます。
- ペン歩き: ペンの端を親指・人差し指・中指で持ち、指だけでスルスルとペンの反対側まで「登って」いき、また戻ります。
- 「新聞紙の片手丸め」・・握力と手指全体の連動性を高めます。
- やり方: 新聞紙(またはチラシ)を1枚広げ、片手だけを使って、手のひらの中でクシャクシャに丸め込んでいきます。
- ポイント: 最後にできるだけ小さく、硬いボール状に丸めるのがコツです。
- 「指タッピング」・・神経と筋肉の連動をスムーズにします。
- やり方: 机に手のひらを置き、親指から順に、一本ずつ指を高く持ち上げてはトントンと叩きます。
- ポイント: 「他の指を動かさないように、その一本だけを動かす」のが意外と難しく、良い訓練になります。
- 「洗濯バサミ・パチパチ」・・親指と人差し指の「対立運動(向き合う動き)」を強化します。
- やり方: 少し硬めの洗濯バサミを用意し、親指と各指(人差し指、中指、薬指、小指)で交互に開閉します。
- ポイント: 特に力の入りにくい薬指や小指を意識して動かしましょう。
ちなみに私自身が試してみたところ、1(小豆つかみ)と3(新聞紙丸め)は問題なくできましたが、4(指タッピング)と5(洗濯バサミ)はやはり右手、特に薬指と小指が思うように動かず苦戦しました。
そして2(ペン歩き)にいたっては……最初の一歩で挫けています😅
できない自分を笑いながら、「今日は昨日より指が1ミリ高く上がったかも?」くらいの気楽な気持ちで取り組むのが、長く続ける秘訣かもしれません。
💡 アドバイス
リハビリのコツは、「やりすぎないこと」です。 指先に疲れや痛みを感じたら、すぐに休んでください。無理に100回やるよりも、毎日3分だけとか時間を決めて「楽しみながら」続けることが、神経を呼び覚ます一番の近道です。
