退院間近(※1)になると自宅への日帰り外出が許可される。病院という場所は、当たり前のことだが患者に対して支障をきたさないよう整備されており(※2)、空調・トイレ・生活動線等様々な環境が良好となっているが、自宅では新築時から余程考慮しない限りそうなってはいない。退院ということを大まかに括れば、
① 殆ど健常者と変わらず動くことが出来る
② 多少の補助は必要だが何とか日常生活が送れる
③ 行動範囲が狭く常時補助が必要である
の三択だろう。
つまり後者の二つにおいては、障害を持った者が退院後に病院と自宅での生活のギャップによって肉体的負担及び精神的ストレスが生じないよう、又は緩和できるよう、後付けで様々な改修工事や物品の設置をしなけばならないということになる。
自宅に到着すると、先ずは事前にチェックしていた箇所に問題がないか確認する。不都合箇所があればチェックし、病院に戻って再度ミーティングを行い解決策を模索する。内容によっては修正箇所が退院後になる事もあるのでそれまでの注意点を確認しておく。退院が間近になるほど準備しておかなければならない事が増えてくるが、約半年ぶりに自宅での生活が待っていると思うと苦にはならない。と、同時に今までお世話になった病院スタッフの方々との別れが近いと思うと少し寂しい気分でもある。
退院直前になると、管理栄養士の方から食事の内容や摂り方についてのレクチャーを受ける。当初は車椅子での退院を目指して入院してきたが、完全では無いにしろ自立歩行で退院できたことは病院スタッフの力添えがあってこそだ。ここまで担当医や各療法士、看護師、補助士などの方々を「病院スタッフ」と一括りにしてきたが、本当はこのような簡単な言葉に出来ない程お世話になった。これまで実名は避けてきたが、この経験談を読まれた中で該当する方がいたら、ある程度の検討がついている方もおられるだろう。この場をお借りしてお礼を申し上げたい。
6月13日退院。回復期病院に入院してから115日目、急性期病院の入院期間を含めると156日目のことだった。
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※1 実際には退院予定日の数か月前から、医療ソーシャルワーカーを含む病院スタッフと共に退院後の自宅環境について話し合いがあり、不都合部分については事前に改修工事や補助器具設置などを行い、障害者にとって大きな不自由がないよう努めることとしている。
※2 公共の場所・施設においては「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号、通称「バリアフリー法」という。)によって、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とすることとしている。
OPLLの維持期(生活期)リハビリ -17- [2019/9]