いよいよ本格的なリハビリが始まった。しかし、自力で起き上がるどころか寝返りさえ満足に出来ない転院当初の私にとって、訓練室(リハビリテーション室)は何と遠いことか。
先ずは急性期リハビリ時と同様、脚や腕の曲げ伸ばしと握力をつけるための訓練をするのだが、今度は時間をかけて(※1)徹底的に行われたため、お陰で2~3日で寝返りが出来るようになった。しかし、ここから難儀した。起き上がれないのだ。どこをどう踏ん張っても上半身を起こすことが出来ないのだ。2か月近くの寝たきり状態によって全身の筋肉がやせ細り、関節の可動域が小さくなってしまっていた。
取りあえず、電動ベッドの背上げ機構を利用して上半身を立てた状態とし、何とかベッドから脚を下した状態にできた。ここからはリハビリスタッフが私を抱え上げ車椅子に移動してくれるのだが、入院生活で瘦せたとはいえ転院当時の私は体重が60kg中半あった。そんな身体の移動を、特に女性スタッフにとっては(一人でやらなくてはならないので)重かっただろうし、加えて入院当初から装着している尿カテーテルの畜尿袋も併せて移動しなくてはならないのだ。
そして訓練室に行けば、先程とは逆に車椅子からリハビリ用診察台へ(畜尿袋と共に)移動させる。リハビリが終われば来た時の逆の事をしなければならず、1日何回もこれを繰り返すことになる。仕事とは言えスタッフは大変だったろうと思うが、お陰で私の身体には多少なりとも筋肉がついてきて、日常動作が僅かではあるが少しずつ出来るようになっていた。
とにかく、これから様々な訓練が私に立ちはだかる訳だが、医療スタッフの方々の協力を得てプログラムを熟して行かなければならない。その進捗はスムーズに進む事もあるが上手く行かない事も多い。人生の縮図のようだ。大事な点は上手く行かなくても腐らず、辛抱強く道が開けるまで続けることなのだろう。仕事もリハビリも遊び(趣味)も勉強も同じだ。焦ってはいけないと思った。
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※1 リハビリはどのようなステージでもマンツーマンが原則となっている。回復期リハビリの場合、一患者に対して割り当てられる訓練時間は1日計3時間以下とし、その時間内で1回(1単位)20分のコマ割りとなっている。機能回復度によっては1回のリハビリに数コマを使って集中的に実施することが多い。なお、入院できる期間は疾患の種類などにより厚生労働省で定められているが、180日が現在の最長入院期間となる。
OPLLの維持期(生活期)リハビリ -17- [2019/9]