転院して1か月が過ぎ、世の中は新年度を迎えようとしている。幸いにもウェルウォーク(OPLLの回復期リハビリ(ロボットを使う-2-)参照)により多少でも歩ける可能性が出てきたため、リハビリメニューは次の段階である、歩行補助器を使用しての歩行訓練を並行して行うことになった。
歩行訓練が出来るようになったと言っても、病室からリハビリテーション室までの移動は未だ車椅子で、移動範囲も制限が掛かっており、ベッドから車椅子に乗り込むことも、病院スタッフの許可・介添え無くして自分勝手にしてはいけないのだ。仕方がない。ここで焦っては事を仕損じる。慎重に行こう。
ウェルウォークでの歩行距離は、開始10日後には当初より2倍以上の400mを超えるようになり、歩き方も最初は膝が上手く延びなかったり身体が傾いていたりと、ディスプレイで我が姿を見るのが恥ずかしくなるくらい情けないものだった。その内、歩き方も日を追うごとに慣れてきて、多少は様になってきたところで、次はロボットの負荷を徐々に下げていくことになる。当然のことで、まさかロボットを着けたまま社会復帰する訳にもいかず、これからが本当の試練と思い頑張るしかない。
歩行補助器による歩行訓練は、リハビリテーション室の内周を歩くことから始まる。肘当てが着いているので、脚に全体重をかけなくても歩くことができるため、最初から50m以上進むことができた。慣れてくると100m、150m、300mと日を追うごとに増え、約2週間後には500m近く進むことが出来るようになっていた。
余談だが、もう少し季節が進んだ5月の大型連休後の私の体重は58kg(身長168cm)となっていて、これはBMIでは普通体重の範囲には入るので問題は無いのだが、妻が日に日に痩せていく私の姿を見て違う病気を罹ったのではないかと気を揉む事となっていた。確かに、これは明らかに摂取エネルギー量より運動量が勝ってしまっている状態だったので、これ以上筋肉が痩せないよう、ご飯は普通盛りから大盛りにしてもらい、訓練後もパウチに入ったエネルギー補給剤を飲んで、何とか筋肉をつけて体重を増やそうとした。結果的には、退院時の体重が60~61kgと標準中の標準となっていた為、妻も安心した次第となった。
そして、4月も中ごろに差し掛かると自立歩行の訓練が始まった。勿論、リハビリテーション室の中で、しかもPTの方がいつでも私を支えられるようほぼ真後ろで一緒に歩いてくれている。最初の距離は20m歩けたかどうかというヨチヨチ歩きというレベルだったが、何の支えも無く、自分の脚だけで歩くことが出来るようになったこの時は感激した。社会復帰への第一歩を踏み出したという、何とも言えない高揚感がそこにあったことを今でも思い出す。
しかし、これは次へのステップの一つにしか過ぎず、この後はもっとハードな訓練が待ち構えていたのだ。そう、この時点でも私の訓練はまだホップの段階で、自立歩行が出来る様になって漸くステップの第一歩となったのだった。
OPLLの維持期(生活期)リハビリ -17- [2019/9]