後縦靭帯骨化症の手術と急性期リハビリテーション

この記事は約2分で読めます。

手術

 手術は、脊柱管を拡げる「椎弓形成術」という術式で、首の後方を切開して脊柱管を構成している椎弓の一部を切り取り、神経の圧迫を取り除く方法だそうだ。この手術によって、今後もし頸椎に多少の圧力がかかったとしても、骨間のギャップによって神経根をつぶさないようにする為らしい。だからと言って転倒しても良いという訳ではない。
 手術は全身麻酔なので目が覚めたら終わっていた、という状況だ。処置は大成功に終わり、出血量も僅か10ccで済んだとのこと。ブラックジャックのような人がいたんだ、と感心した。しかし、相変わらず私の首から下は微動だにしない。相当な強さで神経根を圧迫したに違いない。

急性期リハビリテーション

 手術が終わって、次はリハビリテーション(以下「リハビリ」という。)による機能回復だ。リハビリには急性期、回復期、維持期(生活期)の三段階があり、患者の症状に応じて段階ごとに掛ける負荷は変動する。私の場合の急性期リハビリは全く動けないのでベッドの上で行うことになるが、病院内での施術なので平日だけの長くても1日当り20~30分程度である。これは急性期リハビリであれば仕方のないことだ。
 先ずは四肢のストレッチとマッサージ。病院に来てから2週間以上に渡り仰臥位(所謂「仰向け」)だったため、ただでさえ麻痺している身体は今や全身が硬直している状態。石のように凝り固まった身体を揉み解すことから始まった。休診日は、身体が元の膠着状態に戻らないよう療法士の許可を得て、妻に同じようなストレッチをしてもらった。仕事や家事、ましてや大雪の中で大変だろうに、どんな時でも毎日見舞いに来てくれた妻にはとても感謝している。

 日が経つにつれてリハビリのメニューは増え、変化する。四肢が自力で微動できるようになってきたら、補助付きでの座位(足は伸ばした状態)そして補助付きでの立位へと、筋力を少しずつ高めていく動作になる。しかし、その進捗は「カメの歩み」だ。とても数か月で社会復帰できるメニューではないという事は、素人の私でも理解できた。
 そんな折、主治医から次のステップへの提案があった。内容は、リハビリ専門病院へ転院し、出来るだけ良い状態で社会復帰を果たすように訓練するというものだ。訓練は非常に厳しく、脱落して退院する者もいるらしい。しかも、私の今の状態から勘案するに、そこでのメニューを熟したとしても車椅子での社会復帰の可能性が高いという事だった。「それでもやる」と私は転院の手続きをお願いした。