心筋梗塞とは
心筋梗塞とは、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が、プラークや血栓などで詰まってしまい、心筋に栄養と酸素が十分に届かず、心筋が壊死した状態をいいます。これには、「急性」も「慢性(陳旧性)」も含まれます。
心筋梗塞は突然起こるイメージがありますが、実際には高血圧・脂質異常症・狭心症などの前段階を経て発症することがあります。胸痛だけでなく、息切れや吐き気など見逃しやすい症状にも注意が必要です。
用語・意味・症状等については、「国立研究開発法人 国立循環器病研究センター」での内容を参考にしています。

本記事は一般的な健康情報であり、症状がある場合は医療機関へご相談ください。
心筋梗塞までの進行過程
① 脂質異常症(Dyslipidemia)
健康診断判定【BorC】:軽度異常/経過観察(数値によっては要再検査・生活改善)
脂質の中でも、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多すぎて、余分なコレステロールを血管の中に沈着させ動脈硬化を起こさせる症状。あるいは善玉(HDL)コレステロールが少なすぎて、血管内の余分なコレステロールを肝臓に戻しきれない症状をいい、動脈硬化を引き起こす引き金になるといってよいでしょう。
なお、脂質管理目標値は、循環器での既往歴がある場合は、そうでない方より目標値は厳しく設定されることがあるので注意が必要です。
② 高血圧症(Hypertension)
健康診断判定【CorD】:要再検査・生活改善(数値によっては要精密検査・治療)
慢性的に血圧が高い状態(140/90mmHg以上)で、常に血管に強い圧力がかかり血管が硬くなる(動脈硬化)ため、プラークや血栓が発生しやすくなり、狭心症や心筋梗塞へのリスクが高くなります。
③ 狭心症(Angina)
健康診断判定【DorE】:要精密検査・治療(または要治療)
血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが一時的に悪くなる状態をいいます。心筋梗塞との大きな違いは、狭心症では心筋の損傷はほとんどありませんが、心筋梗塞では心筋は壊死・死滅(一部または全部)してしまいます。
④ 急性心筋梗塞(Acute Myocardial Infarction: MI)
危険な状態(Critical condition)
血管が急に詰まり、壊死が進行しているため命の危険が最も高い段階(発症後72時間以内)で、緊急の治療が必要な状態をいいます。
| 項目 | 心筋梗塞 | 狭心症 | 高血圧症 |
|---|---|---|---|
| 定義 | 冠動脈が詰まり心筋が壊死 | 冠動脈が狭くなり酸素不足 | 血圧が正常範囲より高い |
| 血管の状態 | 閉塞(完全に詰まる) | 狭窄(詰まりかけ) | 常に負荷がかかり、硬化や損傷が進行 |
| 心筋の障害 | 壊死 | 一過性 | 肥大化、機能低下 |
| 胸の痛み | 非常に強い(15分以上) | 起こる(数分で治まることが多い) | 通常なし(合併症除く) |
| 主な原因 | プラークや血栓 | 動脈硬化、高血圧 | 生活習慣、ストレス、遺伝 |
| 緊急度 | 非常に高い | 要受診 | 長期に経過観察が必要 |
心筋梗塞の典型的症状
急性の場合、締め付けられるような強い胸の痛みや胸部の圧迫感が突然表れます。この症状は狭心症によく似ていますが、心筋梗塞の場合、安静にしていても症状がおさまらないのが特徴です。
随伴症状※としては、男性では冷や汗を伴うことが多く、女性では呼吸困難感や吐き気を催すことがあります。
※随伴症状:主となる病気や症状(主訴)に伴って発生する症状のこと
見逃しやすい非典型的症状
特に、高齢者、糖尿病患者や女性においては胸の痛みがない、若しくは胸の痛みが軽度な場合があり、そのため本来の病気(心筋梗塞)に気付かない場合があります。
一概には言えませんが、みぞおちの痛みや吐き気・嘔吐がある場合、胃炎や胃潰瘍などと誤認しやすく、また強烈な肩こりの場合もあり、五十肩などと勘違いして発見が遅れることもあります。
日常的な息切れ、息苦しさ、呼吸困難感、強いだるさは心筋梗塞のシグナルである場合もありますので注意が必要です。
発症しやすい人の特徴
よく言われるのが、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病のある方や、喫煙やストレスの影響により心筋梗塞発症のリスクを高めることがあります。
また、遺伝的素因等も認められることから、血縁者で心筋梗塞既往の方がいる場合は発症リスクは高くなるでしょう。
救急受診の目安
壊死した心筋は元には戻りません。そのため、少しでも早く血流を改善することが心筋の壊死を減らすことになるのです。
前述した健康診断での結果や、典型的症状若しくは非典型的症状が表れたら、迷うことなく受診してください。
私の実体験
私自身も、健康診断の異常値を軽視した結果、急性心筋梗塞を経験しました。
私の場合の原因は単純で、過食と運動不足と喫煙です。職場での健康診断では、中年ころからの中性脂肪増加による「経過観察」から始まり、そのうち血圧がどんどん高くなり、高い時の収縮期血圧は180mmHgを軽く超え、拡張期血圧も100mmHgを超えることがしばしば。健康診断でも「要精密検査」の文字が出てきました。
さすがに危機感が出てきましたので、勤務先である病院で診察を受けたら「高血圧症」の診断。それでも仕事でのストレス発散を理由に喫煙をやめることは出来なくて、ズルズルと負のスパイラルに突入してしまいました。
人の身体とは不思議なもので、少しずつ血圧が上がってきた場合、身体にはそんなに負担がかかっていないように感じます。実際、ある程度までは日常生活に支障をきたしているとは感じていませんでした。
しかし、ある時期から、喫煙時に軽いめまいや軽い動悸を感じるようになり、階段の昇降で息切れするようになりました。そこで再度診察を受けたら、今度は「狭心症」の疑いがあると言われ、「24時間自由行動下血圧測定」を受けることになったのです。しかし、このような時に限って結果は「悪いところは見当たらない」のでした。
このような偶然が重なって、私はますます沼の深みにはまってしまいました。ここまできたらもう底なし沼です。
そして、結末はいきなりやって来ました。「急性心筋梗塞」です。そこから先は別の記事でも書いていますので、そちらをご覧になってください。
