支援者の不足
医療従事者の不足
ケガや病気になったとき、多くの人がお世話になるのは、病院や医院、診療所といった医療機関でしょう。しかし現在、その医療現場の多くで、人手不足や経営面での厳しさが続いているといわれています。
私が子どもの頃は、地域から医療機関がなくなるなど、想像もしていませんでした。しかし今では、地域によっては医療機関の存続そのものが課題として捉えられる時代になっています。
当初、私は「看護師不足」が主な問題なのだと思っていました。ところが、知り合いの医師や看護師の方々から話を聞く中で、医師、看護師、介護士など、医療・介護に関わるほぼすべての職種で人材不足が生じていることを知りました。
「地方だから仕方がないのだろうか」と考えたこともありましたが、テレビや新聞などの報道を見ると、都市部と呼ばれる地域でも同様の問題が起きており、中小の医療機関に限らず、大規模な病院でも人手不足が深刻化しているケースがあるようです。高齢化社会の進行や医療需要の増加など、複数の要因が重なった結果なのだと思います。
現在、国や自治体、関係機関においても様々な対策が検討・実施されていると聞いていますが、それとは別に、患者側ができる協力もあるのではないでしょうか。

©いらすとや
例えば、病気になる前の「未病」の段階で、自分の健康状態に目を向け、日頃から体調管理を意識すること。併せて、自治体などによる健康づくり支援の仕組みがより活用されることで、結果として医療機関の負担をわずかでも軽減できる可能性があるのではないかと感じています。
地域連携支援者の不足
もう一つ、深刻化していると感じているのが、退院後や在宅生活を支える「地域連携支援者」の不足です。その中心的な役割を担っているのが、ケアマネージャー(以下、ケアマネ)と呼ばれる方々です。
私自身、後縦靭帯骨化症(OPLL)で入院した際、退院後の生活支援を受けるために、ケアマネさんと介護サービス利用計画(ケアプラン)を作成しました。当時は、介護支援制度についてほとんど知識がなく、結果としてケアマネさんに大きな負担をおかけしてしまったと思います。
しかし、この手続きを経なければ、退院後に介護事業所と連携を取ることができず、必要な支援サービスを受けることが難しくなります。それほど重要な役割を担っているにもかかわらず、ケアマネをはじめとする地域連携支援者が不足していると言われているのが現状です。
実際には、資格を持ちながら現場で働いていない「潜在的な人材」は一定数存在するとも聞きます。ただ、報酬面の課題や法定研修にかかる時間・費用、業務の負担感など、さまざまな要因が重なり、継続して従事することが難しい状況があるようです。
例えば、研修についても、質を保ちつつ隙間時間で受講できるリモート形式など、柔軟な選択肢が広がれば、現場復帰のハードルが下がるのではないかと、素人ながら考えてしまいます。
さらに深刻だと感じるのは、支援する側の精神的な負担です。患者さんやご家族、個別ごとの対応が必要な中での支援は、時間的・精神的な負荷が非常に大きくなりがちです。そうした支援を担う方々自身の心身や生活が守られなければ、地域連携を継続していくことは難しくなってしまいます。
支援を受ける側だけでなく、支援する側を支える仕組みもまた、これからの社会にとって欠かせないものだと感じています。
まとめ
私たち一人ひとりが「健康」というものに、もう少し主体的に、そして前向きに向き合うこと。それが結果として、医療や介護に携わる方々の負担を、ほんのわずかでも軽くすることにつながるのではないでしょうか。
二つの大きな病気を経験した者が、偉そうなことを言っていると思われるかもしれません。しかし、そうした経験を通して初めて、これまで見えていなかった支援の現場や、その苦労が見えるようになりました。
病気は、すべてが自己責任ではありませんが、振り返ってみると、自分の生活習慣や意識が少なからず影響していたのではないかと思うこともあります。だからこそ、気付けるうちに気付き、支え合いながら生きていくことの大切さを、これからも伝えていけたらと思います。
