気付くということ

道端の花 Consideration
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 何事もそうだが、何かを蝕むときはある程度の時間を要するものなのだが、当事者がそれに注意深くないと顕在化するまで気付かない。そして、更に進んで侵蝕が限界に達した時には既に手の施しようがない状態となり、最悪の場合、事は停止し消えてしまう。これを「失敗」といい、後日、私は「組織は合理的に失敗する」(菊澤研宗(※1)著)という著書でこれを学ばせていただいた。要約は、恐れずに言うならこうだ。

 どの様な人間であっても、閉鎖された組織内での不条理な行動というものは、時を掛けて自分の都合の良いような合理的行動に変容させてしまう。一度不条理を飲み込んだ組織は、次の不条理性をも合理的行動という集団思考に歪めてしまい、やがて組織は崩壊する。しかし、開かれた組織では環境に合わせて自己改革することが合理的行動となり、パラダイム(認識の枠組み)の不条理を回避することができる、というものだ。

 これを人体に置き換えると、自らの都合で自らの病気(不条理)を合理的に歪めたものは、やがて正常性バイアスに陥って自らが破綻するまでその不条理(病気)を貫くことになってしまう。こうなると、余程のショック(環境変化)を与えない限り本人は気付かないばかりか、手遅れとなることが多い。まぁ、言うは易し行うが難しだが、常に心に止め置き、不条理(病気)に陥らぬよう常に自己改革(生活習慣を良い状態に保つ)を行っていく努力を惜しまないということだ。

後縦靭帯骨化症への予兆と気付き

 後縦靭帯骨化症の発症原因は未だ不明であり、治療法も確立されていない。「難病」と言われる所以である。初期症状としては後頭部や頸部の痛み、肩こり、手の痺れや痛みなどがあり、進行するに従い足のしびれや痛みも増え、感覚鈍麻、手足の筋力低下、手足の腱反射異常、排尿排便障害などが表れると言われている。

 では、その初期症状以前に軽度症状や気配は無かったのか。先ず最初に、これが切っ掛けだと思われるのは「急性疼痛性頸部拘縮」というもので所謂「寝違え」と言われる症状である。最初の頃は2~3年に一度のペースで出ていたが、その内に発症スパンが短くなってきて、毎年の恒例行事の様になってしまっていた。
 「寝違え」の原因は特定できないことが多いが、私の場合、長時間に及ぶパソコン操作により頸部に炎症が発生し、その炎症を随時解消せず翌日、翌々日と重ねてしまったことだと思う。
 公益社団法人日本整形外科学会(”OPLL/MI:後縦靭帯骨化症/心筋梗塞”ページ中の外部リンク参照)によると「寝違え」の治療法は様々だが、炎症以外の原因による場合もあるので、症状の強弱に応じて整形外科を受診することが望ましいとされている。

 この様に、前屈位による首に長時間負担を掛ける動作(PCでのキーボード操作やスマートフォン操作等、※2)は、頚椎症や頸椎ヘルニアの原因の一つとも言われるストレートネックになり易いことから、出来るだけ首に負担を掛けない姿勢を日常から心掛ける事が予防の一つとなる。

 軽度症状が改善しないまま時間が経過してくると、状態は徐々に悪化の一途を辿ることになるだろう。それこそ最初に書いた症状が表れてくることになるのだが、初期に表れるこの症状はさほど酷くないことから気に留めない場合が多い。そこに難病が隠れているとは考えが及ばないのだ。
 その内、極端に首を反った時やジャンプなどによる首への振動時に、首や肩から腕にかけて鈍痛を伴う強い痺れが数分間継続するようになってきて、それは暫く動けなくなる位の痺れである。やがて、手足の冷えを感覚として認識するようになり、皮膚表面の感触が鈍くなってくる。
 ここまで来ると出来るだけ早い時期に専門医の診断を仰がなくてはならないのだが、これを放置したまま、ある日突然転倒などにより首に強い衝撃を受けた時、「動作不全」は突然やってくる。
 ”BLOG/ブログ”を読んでいただければ分かることだが、ここまで悪化してしまうと元の状態に戻る確率は非常に低くなってしまい、生涯に渡り障害が残ることになってしまう。

 もし今、ここに書いた症状で悩んでいる方がいれば、取り敢えずは専門医の診断を仰ぐことをお勧めする。痺れや痛みなどの身体の不調は軽度の時であればあるほど回復率は高くなる。「難病」とは言え、早く気付けば健常者とほぼ変わらない生活が送れるのだ。

心筋梗塞への予兆と気付き

 一般によく言われる心筋梗塞の初期症状は、胸痛や胸の圧迫感・違和感、冷や汗や吐き気、脱力感、動機・めまい等だが、ここまでの症状になると既に緊急事態であることが多く、最悪の場合手遅れとなる場合がある。
 私の場合、原因不明の肩のコリに始まり、そのコリが徐々に肩の痛みに変化していった後、胸の圧迫感やチクリとした痛みが増え(特に喫煙後にその症状が出ていた)その後徐々に不整脈が自覚できる位になってきたことが初期症状だったと今は思える。

 このような心筋梗塞の場合、実は発症する2~3年前から高血圧特有の症状が出てくる。いや、本当はもっと前から出ていたのかもしれない。血圧というものは、急に変動すれば前述した様な症状が出るものなのだが、徐々に上昇していった場合、あまり体調に違和感を覚えることがないまま進行してしまう。健康診断で「再検査」や「要精密検査」などの通知がきても日常生活に支障がないことから、多忙を理由に後回しにしている。そうこうしている内に病気が臨界点に達し、直せた病気が根治不可の大病になってしまい、入院等による長期休暇で家族や職場に迷惑をかけてしまうことになるのだ。

 では、どうしたら防ぐことが出来たのだろうか。私のような場合の答えは簡単である。

 ★ 他者(健康診断、主治医、家族等)の意見を素直・・に聞き入れ、実行する(中々出来ないことが多い)
 ★ ストレスを上手に解消する術を身につける(簡単でもよいので運動・・すること、と今ではわかる)
 ★ 過飲過食は控える・・・・・・・・(特にストレス過多の場合、満腹中枢の刺激がストレス緩和になるため注意)
 ★ 禁煙・・(タバコは百害あって一利なし、吸わない者にとってこれほど迷惑な物はない)
 ★ 良質な睡眠・・(実はこれが一番難しい)

 このように挙げればきりがないが、要は「極端な身体への負荷を減らす」に尽きるような気がする。上手に時間を使い、上手に身体を使うよう心掛けることではないだろうか。

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※1 菊澤研宗(きくざわ けんしゅう)1957- 石川県羽咋市出身、経済学者、商学博士(専門:新制度派経済学、コーポレート・ガバナンス、経営哲学、等)
※2 極度な前屈位での首に掛かる負担は30kg近くとも言われる。