後縦靭帯骨化症(OPLL)の回復期リハビリ|自立歩行と階段昇降への挑戦【OPLL2-5】

後縦靭帯骨化症
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※当サイトの記事は、筆者が実際に専門家の指導のもとで行ってきた治療・リハビリの体験をもとに記しています。治療方法や経過には個人差があり、すべての方に当てはまるものではありません。実施にあたっては、必ず主治医やリハビリ専門職にご相談ください。

ロボット依存からの脱却|自立歩行への「ヨチヨチ歩き」

 後縦靭帯骨化症(OPLL)を発症して3か月、転院して1か月以上が過ぎたころ、世の中は新年度を迎え賑やかになっています。この頃になると、ウェルウォークのおかげで多少でも歩ける可能性が出てきたため、リハビリメニューは次の段階に進み、歩行補助器を使用しての歩行訓練を並行して行うことになりました。

歩行補助器で500m完走。そして支えなしの20mへ

 歩行訓練ができるようになったといっても、病室からリハビリテーション室までの移動はいまだ車椅子で、移動範囲も制限がかかっており、ベッドから車椅子に乗り込むときも病院スタッフの許可・介添えなく自分勝手にはできません。
 仕方ありません。ここで焦っては事を仕損じます。慎重に行きましょう。

 ウェルウォークでの歩行訓練は、歩き方も最初は膝が上手く延びなかったり身体が傾いていたりと、ディスプレイで我が姿を見るのが恥ずかしくなるくらい情けないものでした。その内、歩き方も日を追うごとに慣れてきて、多少は様になってきたところで、次はロボットの負荷を徐々に下げて、依存度を下げていかなければなりません。
 当然のことで、まさかロボットを着けたまま社会復帰する訳にもいかず、これからが本当の試練と思い頑張るしかありません。

 そして、自分で車椅子から立つことができ、何かにつかまってでも前に進むことができるようになると、次は歩行補助器の助けを借りての訓練に進みます。もちろん私の傍にはスタッフの方がずっとついていてくださいました。
 歩行補助器による歩行訓練は、リハビリテーション室の内周を歩くことから始まります。肘当てが着いているので、脚に全体重をかけなくても歩くことができるため、最初から50m以上進むことができました。
 慣れてくると100m、150m、300mと日を追うごとに増え、約2週間後には500m近く進むことができるようになっていました。

 そして、4月も中ごろに差し掛かると自立歩行の訓練が始まりました。もちろんリハビリテーション室の中で、しかもスタッフの方がいつでも私を支えられるよう、ほぼ真後ろで一緒に歩いていただけるので安心です。
 最初の距離は20m歩けたかどうかというヨチヨチ歩きというレベルでしたが、何の支えもなく、自分の脚だけで歩けたとき、まさに“感無量”でした。

 社会復帰への第一歩を踏み出したという、何とも言えない高揚感がそこにあったことを今でも思い出します。

 周りにいたスタッフの方々も喜んでくれたり、中には手をたたいてくれる方もいらっしゃいました・・ちょっと照れましたね。

 しかし、これは次へのステップの一つに過ぎず、この後はもっとハードな訓練が待ち構えていました。そう、この時点でも私の訓練はまだホップの段階で、自立歩行が何とかできるようになってようやく始まる次のステップへの第一歩だったのです。

想定外の課題?リハビリ強度と体重管理(BMI)のバランス

 余談ですが、もう少し季節が進んだ5月の大型連休後の私の体重は58kgとなっていて、これはBMIでは普通体重の下限値に入るので問題は無いのですが、妻が日に日に痩せていく私の姿を見て、別の病気にかかったのではないかと気を揉む事となってしまいました。
 確かに、これは明らかに摂取エネルギー量より運動量が勝ってしまっている状態だったので、これ以上筋肉が痩せないよう、ご飯は普通盛りから大盛りにしてもらい、訓練後もパウチに入ったエネルギー補給剤を飲んで、何とか筋肉をつけて体重を増やそうとしました。結果的には、退院時の体重が60~61kgと標準ど真ん中となっていた為、妻も安心した次第となったのです。


平面から上下の動きへ|「階段昇降」という高い壁

 歩行補助器による歩行と、多少の自立歩行ができるようになって約1週間。病棟1フロア内での自由歩行が許可され、やがてベッドへの乗り移りもフリーになりました。
 それまでは全ての行動に病院スタッフが付き添う決まりとなっていましたので、これでスタッフ皆さんの手を煩わせなくてよくなったと思うと、多少安堵していると同時に、身の回りから賑やかさが消えていき一抹の寂しさもあったりしました。
 その内、ようやく自力での起き上がりができるようになり(何と転院して約1か月半も経っていた)、訓練はいよいよホップから次のステップの段階に進みます。

 転院から約1か月半後、自立歩行のため、訓練は体幹を鍛え距離を延ばすための訓練に入りました。
 その一つが階段昇降。最初の頃は、手摺をつかまないと脚の上下だけでは階段を上ることはできませんでした。しかも1階から2階へ登るだけで精一杯。帰りは、情けないことにエレベータで降りる事となっていました。

 これと並行して行われたのが、平行棒につかまって腿上げをしながら横移動する訓練。

 腿は床と並行になるまで上げて軸足とクロスするように下ろして行かなければなりません。端まで行ったら今度は軸足を逆にして反対方向に向かう。
 これを1回のリハビリで何度か繰り返すのです。

 これが連続してできるようになると、階段昇降での腿上げもスムーズにできるようになりました。

リハビリ専門病院の訓練室で平行棒を使って立ち上がる練習をする男性
”平行棒での腿上げ訓練。地味な繰り返しが、階段をスムーズに昇るための基礎となります”

© いらすとや

 その様なリハビリを続けていく内に、訓練は屋外へと移っていきます。階段昇降を始めてから1週間後。屋外歩行はスタッフ付き添いのもと、杖若しくは押し車で病院前駐車場を周回することから始まります。周回といっても1週間ほどかけてようやく1周できるようになったレベル、まだまだです。

 そして階段昇降を始めて2週間後、手摺につかまってですが1階から4階を1往復(これが本当の昇降)ができるようになっていました。しかし、この時点においても、リハビリテーション室や訓練場所までは、スタッフ付き添いのうえ車椅子での移動しか許可されていませんでした。完全自立への道はまだまだ遠い。


実戦的な訓練の追加|サイドステップと反復横跳び

 転院して約2か月半が経ち、私の行動範囲は少しずつ広がっていきました。先ずは車椅子による院内の移動が自由になり、これにより売店での買い物が好きな時間にできるようになったのです。

 リハビリ・メニューも新たにサイドステップと反復横跳びが追加されました。反復横跳びは、ご存じのように左右へ3歩ずつステップしながら横往復するのですが、通常の体力測定同様に一定時間内での回数がノルマとして与えられます。
 できなかったとしても何のお咎めも無いのですが、達成感が欲しくてつい頑張ってしまう。達成すると今以上のノルマが与えられる、とイタチごっこの様相を呈していますが「これもまた楽し」です(決して被虐性がある訳ではありません)。
 もちろん、ステップを踏んでいる私の後ろでは、イザというときのためにスタッフの方が一緒にステップを踏んでくださっている(その両手は直ぐに私の身体をつかむことができるように)・・感謝。

恐怖との戦い。降りる時の一歩が「社会復帰」への鍵

 階段昇降も1階から6階の最上階まで、休みながらですが手摺につかまらず一往復できるようになりました。ここの病院の6階からの眺めはとても良く、晴れた日は市街や郊外の田園風景が一望できます。

 話が逸れてしまいましたが、階段昇降のリハビリは手摺につかまらず、いかに昇り降りできるかが最終課題です。登りはまだよい。筋力と体力があれば登ることができます。問題は降りるときです。
 どうしても最初の一歩が恐怖で踏み出せない。踏み面にうまく足が乗らなかったらそのまま転落です。リハビリ中はスタッフの方がいつでもサポートできるよう構えてくれているので安心して行動を起こせます。

 しかし、退院後は一人で階段を昇り降りしなければなりません。殆どの階段は踊り場があるため、真っ逆さまに転げ落ちることは無いでしょうが、例え低い位置からの転落だったとしても、OPLL患者の場合、深刻な後遺症に繋がる恐れがあります。
 リハビリではできたとしても、社会復帰後の階段昇降を実際どうするか(手摺を使うか、又は杖をついて降りるか)は最後まで悩みのタネでした。

 そして、社会復帰後、私のような難病患者は、常に「再発や悪化のリスク」と隣り合わせで生活しなければなりません。階段での一瞬のふらつきを防ぐために、お守り代わりに杖を持っておくことは、自分だけでなく家族を安心させることにも繋がります。

 「転ばぬ先の杖」とは上手く言ったものです。階段昇降に不安を感じている方へ、私が実際に使ってみて「これなら支えになる」と感じた補助具を参考に置いておきます。

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 なお、杖を選択する際は、理学療法士さんなど専門家と相談することをお勧めします。杖には使う方の身長に合わせた「正しい長さ」が必要で、不適切な長さだと逆にバランスを崩す原因にもなるからです。

 個人的には、安全性を示す「SGマーク(Safe Goods)」付きの製品を選ぶのが安心だと思います。万が一の事故に対する賠償保険も付帯しており、道具に命を預ける私たちにとっては心強い目印になります。

 また、杖には「4点杖」という先端が4点で支えるものもあり、これは手を離しても自立して倒れにくい構造のものです。

 ここで一点、注意していただきたいことがあります。1点杖と比べて安定感のある4点杖ですが、「滑らない」わけではありません。 むしろ、設置面が広い分、濡れたタイルやマンホール、砂利道などでは制御が効きにくくなることもあります。滑りやすい場所での使用には、くれぐれも細心の注意を払ってください。

 実を言うと、私も何度か怖い目に遭いました。道具を過信せず、足元をしっかり確認しながら一歩ずつ進むことが、何よりのリハビリだと痛感しています。


瞬発力を取り戻し、車の運転再開を見据える

 そうこうしている内に、行動範囲は病棟内自立から病院内自立となりました。この頃になると、階段昇降は手摺なしで1階から6階まで4往復できるようになっていました。もちろんスタッフのサポート付きでです。サイドステップも往復を20セットできるようになっていました。
 そしてここでの入院生活も3か月が過ぎようとする頃、病院敷地内での外回り歩行も単独自由となりました。こうなるとリハビリは、歩行距離を休みなくどこまで伸ばせるか、段差のある箇所をいかに不安なく通過できるか、大小の石を含んだ砂利道をバランスよく歩けるか、となってきます。もう退院の日は決まっています。やり残して後悔しないよう頑張るだけです。


11の目標:今回の進捗チェック

**「後縦靭帯骨化症(OPLL)リハビリ目標一覧」**

項目訓練内容(目標)当事者にとっての重要性達成度
1自力での寝返り・起き上がり全ての動作の基本。自立への第一歩。
2スマートフォンの操作家族や職場とつながるための「命綱」。
3自力での排泄管理人としての尊厳を守るための最大の難関。
4ペンでの筆記(字・図)書類作成など、社会復帰に欠かせない能力。
5箸を使っての食事補助なしで「食べる喜び」を取り戻す。
6着替え(更衣動作)介助なしで生活するための必須スキル。
7車椅子への移乗移動範囲を広げ、寝たきりから脱する境界線。
8歩行器等での自立歩行最終的には補助具に頼らない歩行を目指す。
9薬の自己管理持病(心筋梗塞など)の再発を防ぐ生命線。
10PC操作(キー・マウス)仕事復帰(デスクワーク)への具体的な指標。×
11自動車の運転生活圏を広げ、元の社会生活に戻るための鍵。×(訓練中)

※達成度・・◎:達成、〇:ほぼ達成、△:挑戦中、×:未達

 今回のハードな歩行訓練により、移動能力に関する目標が劇的に進展しました。

  • 目標1:自力での寝返り・起き上がり(一切の介添えなく、自力で可能に!)
  • 目標7:ベッドから車椅子への移動(病院スタッフの許可なく、自力でフリーに!)
  • 目標8:歩行器等による自立歩行(歩行器から自立歩行へ。手摺なしでの階段昇降も可能に!)
  • 目標11:自動車の運転(反復横跳びやサイドステップにより、運転に必要な瞬発力と体幹が回復)

 最初はロボットに頼り切りだった足が、今や自力で6階までを往復できるまでに。社会復帰への「ホップ」は、確かな手応えへと変わりました。


この続きは「後縦靭帯骨化症(OPLL)の回復期リハビリ|日常生活を取り戻す作業療法【OPLL2-6】」でお待ちしています。 
引き続き、無理のない範囲でお読みいただければ幸いです。