心筋梗塞で入院して一番辛かったことと、退院後に直面した現実

心筋梗塞
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 命を繋ぎ止める手術が終わった後、私を待っていたのは「これまで当たり前にできていたことができない」という過酷な現実でした。

入院生活:最新設備と「動けないストレス」

 手術直後は最新設備の整ったICU(集中治療室)で、24時間の集中管理を受けました。数えきれないほどの点滴、薬剤の交換、常に誰かが傍にいる緊張感。

 この時期、一番辛かったのは「じっとしていなければならないこと」でした。幸い、波打つように動く最新のマットレスのおかげで床ずれは免れましたが、自由を奪われるストレスは想像以上でした。

 唯一の楽しみは、寝たままの角度で視聴できるアーム式のテレビでした。これで随分と気が紛れたものです。

沢山の医療処置を受ける重病人
”沢山の医療処置を受ける重病人”

©いらすとや

 個室へ移っても、ベッドからの離脱は禁止されています。目と鼻の先にトイレがあるのに、排泄はすべてベッドの上で行わなければなりません。

 姿を見られているわけではなくても、何とも言えない恥ずかしさと情けなさが胸に突き刺さりました。「思う場所で用を足せない」ということが、これほどまでに精神を削るものだとは思いもしませんでした。

退院間近の衝撃:「全然歩けない」

 一般病棟に移りました。午前中は検査で時間が過ぎますが、午後は暇を持て余します。当時はちょうど「世界陸上競技選手権テグ大会」が放映されており、時差なくテレビに没頭できたのが救いでした。そうでなければ、まさに「無聊(ぶりょう)を託(かこ)つ」日々となっていたでしょう。

そして、ようやく動けるようになった私が勇んで歩き出した時、猛烈な衝撃を受けました。

 「……歩けない。足が、前に出ない」

 わずか数日の寝たきり生活で、筋肉は驚くほど衰えていたのです。「この体で職場復帰などできるのか?」という焦りから、その日から必死に院内散歩を日課にしました。


 退院から1週間。リハビリ期間を設けて万全を期したつもりでしたが、現実は甘くありませんでした。
 厳しい残暑、異常な汗、クラクラする頭。リハビリのウォーキングすら思うように歩数が伸びません。職場復帰後はさらに過酷で、帰宅するなり「バタンキュー」。夕食を済ませると、瞼(まぶた)が鉛のように重くなる毎日でした。

「こんな生活がいつまで続くのだろう。いつになったら、元に戻れるのか……」

1年後の自分:焦らなくて、大丈夫

 退院後3ヶ月ほどは、頑張る気持ちと不安との「応酬合戦」でした。

 退院後3ヶ月は、頑張る気持ちと不安との「応酬合戦」でした。 しかし、晴れた日は外を歩き、雨の日は室内でマシンを使う。じれったいほどのスローペースでも、「あきらめずに一歩ずつ」を繰り返しました。

(外に出られない日は、家庭用のコンパクトなマシンが本当に重宝しました。私が使っていたタイプに近いものをご紹介しておきますね。)

 すると1年後。私は「あの苦しさは何だったんだろう」と思えるほど、身も心も軽くなっている自分に気づきました。発症前よりも体力がついた自分になれたのです。

 あきらめずに一歩ずつ進み続けたことが、今の私を作っています。

🌸 いま、不安の中にいる方へ

  • 途中、思うような結果が出なくてもあきらめないでください。
  • 進む日もあれば、進まない日もあります。
  • 振り返れば、あなたは確実に前に進んでいます。

 体力も心も、回復には「年単位」の時間が必要です。焦らなくて大丈夫。なが~く続けていきましょう。