ー 飲み込みの違和感を見逃さない!私がリハビリで学んだ「パタカラ体操」の実践 ー
💡補足
ここに記載した口腔嚥下体操は、私が入院中などに専門家の指導の下で行っていたものです。ご自身で実施される際は、不測の事態を防ぐため、一度は専門医や言語聴覚士などの指導を仰いでから行ってください。
口腔嚥下体操はなぜ必要か?
高齢になり心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態を「フレイル」と呼びますが、なかでも近年注目されているのが**「オーラルフレイル(口の衰え)」**です。
日本歯科医師会によると、オーラルフレイルは「早期の重要な老化のサイン」とされており、放置すると全身の健康悪化を招く恐れがあります。
「オーラルフレイルとは、噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰えることを指し、早期の重要な老化のサインとされています。」
日本歯科医師会 「オーラルフレイル対策のための口腔体操」より一部引用 https://www.jda.or.jp/oral_frail/gymnastics/
私自身、年齢を重ねるにつれ、食事中にむせたり、胸のつかえを感じることが増えてきました。しかし、リハビリで教わった「口腔嚥下体操」を継続したところ、少しずつ飲み込みがスムーズになるのを実感しました。
基本は「ウー・イー」と「パ・タ・カ・ラ」
回復期病院やリハビリ施設で必ず行っていたこの体操。地味ではありますが、長期入院生活者や高齢者にとって、これほど大切なものはありません。
1. 発声と舌の基本運動
- 発声: 口を全力で窄めて「ウー」、横一杯に拡げて「イー」と大きく発声します。
- 舌の運動: 舌先で左右の頬を内側から強く押し付けます。
- パタカラ発声: 「パ・タ・カ・ラ」と一文字ずつ、はっきりと大きな声で繰り返します。

©いらすとや
「パ・タ・カ・ラ」が効く部位と効果
【パ】…… 唇を閉じる力を鍛える ➤ 食べ物を口からこぼさないようにします。
【タ】…… 舌の先(前部)を鍛える ➤ 食べ物を押しつぶし、飲み込みやすくまとめます。
【カ】…… 舌の奥(後部)を鍛える ➤ 食べ物を一気に喉の奥へ送り込み、誤嚥を防ぎます。
【ラ】…… 舌全体を丸める力を鍛える ➤ 食べ物を喉へ運ぶため、舌を丸めてスムーズに移動させます。
これら4つの動きが連動することで、私たちは安全においしく食事を摂ることができます。
2. 舌の深掘り訓練
口を閉じたまま舌で唇の周りや歯茎の内側をグルリと舐める運動です。傍から見ると少し滑稽かもしれませんが、仕上げに溜まった唾を「ゴックン」と飲み込むまでがセット。これが喉の筋肉を鍛える重要な訓練になります。
実践!「パンダの宝物」と早口言葉
基本ができたら、次は少し高度な物語風のセリフに挑戦です。
「パンダの宝物は、パパパンダから貰ったラッパ、歩いてパタパタ、鳴らしてパラパラ、高かったラッパで、財布の中は空っぽ」
「パ・タ・カ・ラ」の音が巧みに織り交ぜられた、通称「パンダの宝物」。還暦間近だった私は、これを「将来への貯金」だと言い聞かせ、恥ずかしさを捨てて真剣に取り組みました。
焦らない「早口言葉」
滑舌(口唇・舌の巧緻性)をよくする体操として、早口言葉の訓練も行います。大切なことは焦らないこと。まずはゆっくり、慣れたら少しずつ早くしていきます。
- 「なまむぎ、なまごめ、なまたまご」 焦ると「なまむみ、なまもめ、なまたまも」と濁音の発声が全くできなくなることがあります。
- 「隣の客はよく柿食う客だ」 「隣の客はよくきゃくきゅう客だ」と、自分でも何を言いたいのか分からなくなります。
- 「隣の竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったので、竹立てかけた」 最高レベルの難易度です。「隣の竹垣に竹かけかけヶヶヶヶ」と、まるでオバケが笑っているようになってしまうことも。
大きな声で確実に発声することを意識しましょう。なお、この訓練のときは舌を噛まないよう注意してください!
まとめ:毎日の継続が「誤嚥」を防ぐ
口腔嚥下体操に即効性はありません。しかし、コツコツ続けることで飲み込みの機能が維持され、恐ろしい「誤嚥(ごえん)性肺炎」のリスクを下げることにつながります。
すべてを完璧にやる必要はありません。まずは一項目からでも、**「前に進む気持ち」**で毎日続けてみることが何より大切です。
